|
『地域にひろがる子ども達のぬくもり
~元気と笑顔のお届け隊として~』
秋風が心地よく感じられる季節となりました。園庭や近くの森では、子どもたちがトンボやコオロギを追いかけ「あ!飛んだ!!」「そっちだ!」などと夢中になって捕まえたり、そっと手のひらにのせて観察したりしています。園に戻るときには「バイバーイ!またねー!!」と言いながらそっと逃がしてあげる姿があり、身近にある命の大切さを感じ、優しい気持ちを育んでいることが伝わってきます。
9月は年長さんの北療祭でのマーチング発表から始まり、各学年が『元気と笑顔のお届け隊』としてグループホームや老人ホームを訪問しました。子どもたちは少し緊張した面持ちでしたが、いざ歌や踊りを披露すると、そこには、たくさんの笑顔と拍手があふれました。あるおばあちゃんは、まるでご自身の孫を見るように優しい目で見つめて下さり、あるおじいちゃんは、「元気が出るなぁ~」と声をあげ、手を叩きながら喜んでくださいました。そして、中にはただただ涙を流して喜んでくださる方も…。子どもたちはその思いをしっかりと受け止め、目的意識をもって敬老週間を完走することが出来ました。毎年恒例となった敬老週間で、自分たちの歌声や笑顔が、人の心を動かし元気を届けられることを子どもたちは知りました。幼いころから社会に関わり、人の役に立てることを経験することは、子どもたちの成長にとってかけがえのない学びです。『自分も誰かの力になれた』という実感は、自己肯定感を育み、やさしい気持ちや思いやりの心を豊かにしていきます。人と人とが繋がることの喜びを知った子どもたちは、これから先も社会の中で温かく、生きていく力を少しずつ身に付けていくことでしょう。一生懸命、演奏し、歌い、笑顔を届けようとする子どもたちの姿に、私たち大人は心打たれます。子どもたちは、ただかわいい存在であるだけではなく、すでに社会の一員として大切な役割を担うことが出来るのだと改めて教えられました。
また毎年9月には、お隣の旭川実業高等学校『旭山サークル』の生徒さんや先生と一緒に、旭山動物園の循環型農園の収穫にも参加させていただいています。動物の排せつ物を堆肥にし、その土で育った野菜を収穫し、動物たちに届けるという、命の循環を間近に見ることが出来る貴重な学びの機会です。収穫した人参の葉をヤギ達直接に食べさせる体験をしたり、坂東統括園長先生から直接お話を伺えたりと、子どもたちにとって忘れられない経験となっています。多くの人たちに支えられながら学べる環境があることは、とても有難いことだなあと感じています。
これからも子どもたちが地域の方々や多くの人との出会いの中で、心を通わせ、社会の一員としての意識を育みながら成長していけるよう、幼稚園として大切な役割を果たしていきたいと思います。
園長 谷藤実和
|